まちの本屋 知を編み、血を継ぎ、地を耕す

まちの本屋ビジネス書

著:田口 幹人

仕事がつまらない原因は自分の働き方です。

本のまとめや概要、感想・評価・レビューをしていきます。

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感想

仕事がつまらない原因は自分の働き方だったということがこの本を読んでわかりました。
出版という衰退している業界、「地域のまちの本屋」という、どんどんつぶれているところが多い中で、めちゃめちゃ楽しそうに働いている書店員のリアルが書いてあるからです。
恥ずかしながら、自分は、「仕事がつまらないな」とか、「つまらない原因は会社の体制のせいだ」とか、「上司に無駄なことをやらされているな」とか、「意味ない仕事増やすなよ」って思ってしまっていました。
でも、この本を読んで、会社の体制、上司は自分が仕事を楽しいと思うことと、全く関係ないということがわかりました。

この本の中で著者は、「一見無駄と思える仕事に発見がある」といっています。
毎朝、7時に出社し、雑誌の入れかえと付録とじ、その他の本も新刊を出して、売れていない本を下げることをしています。
付録とじは一円にもならないそうです。
これだけでも、重労働なのですが、下げた本・売れた本を手書きで記録しているそうです。

僕は、本当にしんどいなと思ってしまいました。

ただ、一見無駄に思える、手書きで記録すること自体に意味があります。
データは保管としてつかい、あくまで、自分の目で「今日は一冊減っているな」と確認することが大事です。
やらされているのではなく、本を売っているということが実感値として、理解できるからです。

この実感値が本を好きだけでは、きついと言われる本屋業界で働ける原動力になるそうです。

僕は、なるほどなと思いました。
自ら行動することで、本を売るということの楽しさを実感することが出来る。
上司にやらされているから。
会社の体制が良くないから。
それが原因で、仕事がつまらなくなってしまっているわけではなく、自ら行動せず、仕事を楽しいと思える実感を作り出せていないことが原因とわかりました!

こんな気づきをたくさん与えてくれるのが「まちの本屋」という本です!
この本を読むと、まちの本屋という事業のリアルを通して、楽しく働くとはどういう行動、考え方なのか学ぶことができます。
そして、衰退する業界の中でどうやって生き残っていくか、戦術・戦略を考えるための参考書としてとても役に立つ一冊だと思いました!
「生き方・働き方を学ぶ書」として、「事業戦略のビジネス書」として、とてもおすすめの本です!
ご興味を持たれた方は是非、読んでみてください!

まとめ

  1. 「まちの本屋の書店員」のリアル。きついとやりがいの分岐点
  2. 「まちの本屋」の生き残り戦略

まとめの説明

①「まちの本屋の書店員」のリアル。きついとやりがいの分岐点。

【著者の書店員としてのはじまり】

著者は、先々代・先代から受け継いだ本屋を潰してしまった経験の持ち主です。
その後、第一書店に就職しましたが、そこも経営がたち行かなくなり、撤退。そして、さわや書店に就職し、現在に至ります。
第一書店では、手書きで返品の伝票を書くと言うことを一年間やっていたそうです。

私は、本当に気が遠くなるような仕事だと思いました…

しかし、著者は、この経験が学びになったといっています。
なぜかというと、先輩が売れないと見極めた本を返品します。
返品理由となぜ売れなかったのか、先輩に聞き、知ることができた。返品がいかに無駄なことかも知れた。店作りの考え方にいかされているそうです。

【まちの本屋の厳しいリアル】

まちの本屋は店頭の売り上げだけでは、経営が難しいため、図書館へ納入が売り上げの大半を占めています。
それが、本のデータ作成・管理などのデータ管理システムを持った「図書館流通センター」が参入してきて、小規模で、データ管理システムを持たない「まちの本屋」は入っていけなくなりました。
そのため、売り上げが激減しました。
時代と共に、店頭の本の売り上げが下がり、大口がなくなり、多くの「まちの本屋」が倒産を余儀なくされました。
そんな時代の中で、踏ん張っていた「まちの本屋」もジュンク堂書店のような大型書店が参入し、あきらめ抱くしかない状況でした。
大型書店のような730坪の売り場を維持することが出来ない「まちの本屋」として、身の丈商売をこの時期に考えるようになったと著者はいっています。

都市部に拠点を持つ大企業と「まちの本屋」の違いは、地域に根付いた商売をしていくかどうかです。
お客様に選んで貰うために、一冊一冊をどう売っていくか。それをひたすら考えるのが「まちの本屋」の身の丈商売です。

【きついとやりがいの分岐点】

書店員として、大事なことは「一冊の本を売ることに情熱をもつ」ということです。
どういうことかというと、「次の一冊の選択肢として、出会いを演出すること」です。
自己満足ではなく、100%お客様のためを考え、この本を売るのは本当に今なのか、店に来るお客様はどんな人なのかきちんとわかってないといけないということです。
しかし、「一冊の本を売ることに情熱をもつ」ことはとても、難しいと著者は、いっています。
なぜなら、朝の荷開けから、品だし、客注対応、注文電話、返品処理など全てやらなければならないのが本屋です。
やるべきことをやっていたら、1日があっと言う間に終わってしまいます。
手をかける時間や余裕がない、システムでやろうとすると人はいらない状態になってしまう。
そんな中で、これぞと思った本にどう手間をかけるか、どれくらいのタイムスパンで売るか。お客様がこの本とどのように出会ったら、本に魅力を最大限感じてもらえるか考え、実行することが大切で、難しい。
実行するためには、日々「耕していくこと」が必要だと著者はいっています。

私は、この「耕す」という視点と行動が仕事がつまらないから、楽しいに、仕事をきついと思うから、やりがいに感じる分岐点だと思いました!

「耕す」とは、過去に読んだことがある本とこれから読む本に出会う間に入ることです。
これを経験すると堅気には、戻れなくなるそうです。

この本では、耕し、実った実例をたくさん紹介してくれています。
その一つを紹介します!
何年も通っている80歳を越えている女性が「店長相談があるんだけど…」と声をかけてきました。
なにかと思い、売り場に行くとロボット付録がついている雑誌でちょっとずつ完成していくものでした。
「自分では作れないから、店で作って欲しい」と言われました。
これを新人に任せることにしました。
最初は新人も困惑していましたが、毎週見にきて、お客様が「大きくなったね」「ありがとうね」という会話が始まっていく。
だんだん、店長ではなく、新人を探すようになり、話をするようになる。
「今日、病院にいってきたのよ」などから話が広がり、お客様が通ってくれるようになる。
本屋が「今日用」の場所になり、「今日行く」と思って貰える場所になっていきました。
お客様は、組み立て料だといって、差し入れのお菓子をくれて、それを若いスタッフで食べ、お客様が来るときにお礼をいう。
感謝されたお客様は、感謝されて、満面の笑みです。
他の若いスタッフにも声をかけてくれ、心地よく本屋に来てくれるようになりました。
お客様の接点があり、小さな気持ちの積み重ねがあり、人と人の関係が形づくられていき、それが、本に結び付いていく。

これが、耕していくことか!と感動しました。
忙しい中、断ることもできたと思います。
しかし、日々「耕していくこと」を忘れずに実行していくことで、新人のスタッフにもやりがいをもつことができた瞬間を生み出せたのだと思います。

②「まちの本屋」の生き残り戦略

著者は、本屋の6次産業化を目指していくのが良いのではないかといっています。
六次産業化とは、農業で言えば、一次産業、二次産業、三次産業を足したものを指し、これをまちの本屋でやっていけるのではないかということです。
店頭と外商をトータルで考え、本を介して、地域にどんなことを提供できるのかを考え、パッケージとして、お客様に買っていただく方法を確立していくことです。

具体的にどんなことをしているのかというと、まちづくりへ参画し、そこに本を介在させることです。
児童書読み聞かせを独自にやっているグループとコラボして、店内で読み聞かせのイベントを定期的に開催していた。それが、発展していき、読み聞かせグランプリを大規模な施設を借りて開催することになった。
事前に課題図書を準備して、2ヶ月前から告知しました。
当日は、200人の人が集まり、1日の児童書の売り上げが三十万円以上になりました!
また、児童書の読み聞かせは、定期的に行い、年に一回グランプリを開催するようになりました。
イベントの開催は、まちの本屋でやることもできますが、やらずに地域の読み聞かせグループにやってもらう、そして、そこに寄り添うことがまちの本屋の役割だと著者はいっています。
このような、「今日行く」と「今日用」があり続け、読みたい本との出会いが蓄積できる場所がまちの本屋のあり方です。

要約のまとめと一言説明

きついとやりがいの分岐点は、日々耕していき、実るという実感を体験すること。
まちの本屋の生き残り戦略は、六次産業化をしていく。
具体的には、地域のまちづくりに参画し、そこに本を介在させていくことです。

僕も、日々耕していき、実るような生き方・働き方をしていきたいと思いました!
また、地域の流れを後押しするサービスに自社の商材を絡める事業戦略はとても、参考になりました!
是非、興味を持った方は読んでみてください!

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